ブータンへの出発日まで期日が短かったため、知人の紹介でKeys to Bhutan様にお任せすることにしました。回答に時間が係る現地旅行会社も少なくないと聞いていましたが、そのような遅延もなく、日本語で色々とご相談にのってくださいました。ファームステイ先へのお土産の相談には色々アイディアを下さり大変助かりました。

日々せわしなく日本で過ごす私にとって、ブータンでの旅は一瞬一瞬がすべて新鮮で印象的でした。新鮮ながらもどこか懐かしく、安心感さえ与えてくれる農村風景。予想以上にゆっくりと流れる時間、静寂さ。シャイでサービス精神旺盛なブータン人。物質的豊かさは決して十分とはいえないけれど、ガイドさんをはじめ旅先でお世話になったブータン人の方々からは、人への愛着と心の豊かさを感じました。ブータン人にとっての幸せとは何か…それを知る事が今回の旅の目的でしたが、明確な答えは見つかりませんでした。正直なところ、今の日本のようにブータンに他国の文化が入ってきてしまえば、代償として失うものや幸せの価値観も変わってしまうのではと不安な思いも込み上げました。

しかし、ブータン人と触れ合っていると不思議とそんな不安は消えました。一度心の豊かさを手に入れた彼らなら、他国の文化が入ろうと混ざり合おうと、きっとずっと彼らは幸せを保てるのではないだろうかという気になり、そうあってほしいと強く願うようになりました。物質で溢れる日本から一歩踏み出しブータンを訪れたことは、それだけで私にとって確かに意味のある事でした。私欲ではなく人のために、愛する人が、より多くの人が心豊かでいること、それに貢献できることが自分の幸せに結びつくのではないか…確かにそんな思いを馳せました。
「幸せは巡り巡っている」と教えてくれたブータン人の言葉が忘れられません。
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Hitomi Nakajima
(2012年 8月)