輪廻転生

輪廻転生
タンカスと呼ばれる絵画の持つ意味として,最も興味深いのが輪廻転生(人生の車輪)です。絵画の象徴がすばらしいだけでなく,輪廻といった概念である仏陀の教えも備わっている一枚と言えるでしょう。

タンカスが示す輪廻論とは,6つの領域が存在し,涅槃(ネハン:苦悩の極地というサイクルの終了地点)に着かない限り,再生を繰り返すというものです。しかし,タンカス輪廻にはこれ以上の深みがあります。

ヤマ(Yama)

伝統的なタンカの輪廻は巨大な円から成り立つ,3つの同心円が6つのセグメントにわかれています。この巨大な円を回転させているのがヤマと呼ばれる死の支配者です。このどう猛な外見,円から突き出た顔,そして足。顔からは牙が見え,手足からは爪が突き出ています。頭はヤマの手下で,装飾されている。

一番内側の円

絵画に描かれている内側の円には3匹の動物がいます。-豚,雄鶏,蛇―三匹の動物はそれぞれ,欲,嫌悪, 戸惑いといった心理を表しています。この3匹の動物を3つの炎,3つの位置と呼ぶこともあります。この3匹の動物が絵の中心に描かれているということは,この3つの心理は輪廻の基本であり,生と死に深いかかわりを持つというコトを示しています。豚は戸惑いを,雄鶏は欲を表し,蛇は嫌悪をあらわしている。

内側の円

一番内側の円を囲んでいる円は,人間の行動(カルマの法律)にしたがって,あがったりさがったりする様子を表現しています。よい行いをした人は上昇に,悪い行いをした人は下降に描かれています。背景の色にも違いがあり,明るいのは良い行いをした人,暗いのは悪い行いをした人です。

6つの領域

外側に動くにつれて,円は6つの区域に分かれて行きます。各区域は生と死のサイクルを表現しています。時計回りに区域を見ると,上の区域から,幸せと喜びに包まれた良い区分。ここでは音楽を弾いている姿が見られます(音楽は余暇と喜びの感覚を意味します。)
しかし,この楽しい時間は永遠ではなく,よい行ないの貯蓄がなくなってしまったら,時計回りに隣の (もっと下の) 区域にサイクルするのです。

2つ目の区域はしばしば,demi-gods もしくは titansとよばれる人物がいます。パワーをもっているのですが,相手に対する嫉妬を持っているという欠点があり,戦いが耐えることがありません。

3つ目の区域はおなかをすかせた幽霊がいます。幽霊のおなかはふくらんだ状態で描かれていますが,彼らはどんなに食べても飲んでも,常におなかが空いている状態です。

絵の下部に書かれている4つ目の区域は,地獄を表現しています。ここは常にすさまじい熱か,こごえる寒さが続く状態です。ひとつの区域からはよい行いをすれば,反時計回りに上の区域に上がれるのですが,この区域ですとよい行いの範囲が限られてしまうので,脱出するのは難しくなります。

5つ目は動物界の区域で本能のままに行動をし,いかに生き延びるかという状況を表しています。4つ目の区域と同様,モラルのある行動をする範囲が限られています。

最後は人間界の区域です。いいコトも悪いことも存在する場所です。仏教ではこの区域が6つの区域のなかで,一番悟りを開ける可能性があるということで一番良いと捉えられています。最初の区分と違い,喜びの感覚だけではなく,この区域は他の感情にも存在するのです。浮沈.とは人生の中では避けられないものであり,人間はこの区域を満足とみなすことなく,答えを探すのです。そのため,この区域では,モラルある行動,感性の成長を期待できる場所なのです。仏教ではこうした理由から人間として生まれてきたことがどれだけの特別な機会をもたらしているか,重要な行ないを学べる場所なのか,そして他の5つの区域では体験できないことができるかを教えとしています。

数々のタンカスの車輪の絵画には,bodhisattvaが6つの区域に描かれています。これは他人を助けたり,思いやることが各区分にいる人を助けるという意味合いがあります。

外側の円―12のリンク

外側の円の意味を理解するためにはまず,描かれている12のイメージを時計回りに見ていくことが重要です。この12のイメージは,組織を表現し,回転していくごとに生,死,再生のリンクを意味しています。

1. 生まれーこの絵は無知と錯覚妄想を示しています。この生と死のサイクルにいるのは,私たちが無教養であるからなのです。

2. 焼き物―この絵は行動を表現し,煙というのは,無知という意味から,良い,または病気といった様々な捕らえ方ができます。

3. サルーさるは一つの物体からもう一つの物体に動くとコントロールを失う意識の状態を示します。

4. ボートに乗っている人―これは二人の人物―意識と身体―がsamsaraをさまよっている状態を表現しています。

5. 家―5つの窓と一つのドアは,5感をしめしています。ドアは6感,仏教では精神と教えられています。

6. 愛し合っている2人―これは感性が一体化することを表現しています。例えば目が色や形に反応し,一体化しています。

7. 矢のピアスをした男性―良い感情であろうと悪い感情であろうと,感情は人を盲目にすることを表現しています。

8. 酒を飲む男性―物を所有したいという欲望や熱望を表現しています。

9. 木からフルーツをとる男―すべてを把握し繋ぎ止めたいという熱望を意味しています。

10.妊娠した女性/一緒にベッドにいるカップルーこれは新しい命を生み出すことを表現している。

11.出産の場面―生まれるそして再生を意味します。

12. 年老いた男性,もしくは死体―加齢と死が例外なく訪れるコトを意味します。

この仏教のタンカスの絵画は元々教育の材料として,読み書きができない人のために使われていました。